コロナとバス予約(アイスランド滞在記)

アイスランドと日本では色々な違いがありますが、コロナウィルス対策にも違いがあるようでした。空港から来たばかりの人を除き、アイスランドの街中でマスクをしている人はいませんでした (2022年8~10月時点)。マスクをする・しないのどちらに舵取りされるかは国や地域によって違うんだなと到着早々見せつけられた次第です。

空港ではBjörkの歌詞が出迎えてくれました。
円安が10月になっても止まらんとはこの時は知る由もなかったのでした。
空港では水500mlで約300円。

コロナは人によって症状が異なり、中には重症化する人もいるので、もちろん注意が必要です。

アイスランドではもうすでに一度はコロナにかかっている人が結構いるらしく、だから誰かがコロナになっても慌てないようです。人に移さないように最低限の注意をしていれば、あとは普通に生活し、周りの人もあまり騒ぎ立てず「お大事に」という感じで、普通に過ごすようです。アイスランドでは、コロナはもはや誰もがかかる病気の一つと捉えているような印象を受けました。

日本では、コロナワクチンを何回打ったか?と聞かれることがよくあります。私は誰が何回打っていても打っていなくても構わないのですが、聞かれるたびに、なんとなく無言の圧力のようなものを感じてしまいます。こういう質問は日本らしいのかもしれません。アイスランドでは会話の際にワクチンの接種回数を聞かれることはありませんでした。

日本でよく聞かれる年齢や未婚既婚などのプライベートな事項も、アイスランドでは滅多に聞かれません。もちろん家族や近しい友人知人には聞いたり聞かれたりすると思いますが、初対面の人に「おいくつですか?」などと質問をされないだけで、ストレスが激減したように思います。プライベートなことは、言いたきゃ自分から話す。話したがらない人には無理に聞かない。当たり前だと思いますが、日本で生活していると時々ストレスを感じていた部分でした。

そのような呪縛から解放された私は、レイキャビクの42人相部屋からレジデンスのある田舎町へ向かうため、バスを予約しました。2022年秋現在、アイスランドに電車はありません。田舎町まではレイキャビクからバスを2本乗り継いで行かなければなりません。後半のバスは、毎日は運行しておらず、さらには電話予約必須の路線バスでして、一気に緊張感が高まります。

長時間フライトの末アイスランドに到着した初日、雨と強風にやられて心折れる。
疲労により42人相部屋で爆睡(途中豪快ないびきで起こされる)。

アイスランドではStrætóというバス会社の路線バスが走っています。

予約のための電話をすると、「英語対応希望の人はゼロを押してください」という、確かアイスランド語の(!)自動音声が流れます。ゼロを押して相手が出たら、自分の希望のバスについて伝えます。

手に汗を握りながら電話をし、なんとか無事にバスを予約することができました。しかし、本当にバスが時刻通りに来るのか、乗換案内では乗り換え時間が0分になっているけど、次のバスに遅れずに乗り換えることができるのか?などなど、不安要素はありました。

結果的には、アイスランドはバスが時刻表通りに来るタイプの国で、最初のバスには難なく乗れました。あまり心配しすぎることはなかったなと思いましたが、事前に自分で調べられる範囲のことを調べておいたから多少余裕を持てたとも言えます。そして、アイスランドは天候が激変する国でもあり、それはバスにも影響します。私の乗ったバスは、途中、真っ白な霧に覆われて視界が無くなりましたが、ベテラン運転手がその中を頼もしく走ってくれました。大丈夫です。小さなハプニングは、旅の思い出になります。

ベテラン (であってほしい) 運転手が白い霧の中を勇敢に突き進みます。
バスから見える景色が壮大すぎて、ありがとうアイスランド。

さて、乗り換え時間0分地点に怯えていたわけですが、前半のバスが乗り換え地点のガスステーションにやや早めに着いたからか、思っていたよりもスムーズにバスを乗り換えることが出来ました。乗り換えたバスでアーティストの一人と合流することもでき、徐々に緊張が溶けていきました。

レイキャビクからバスを乗り継いで5時間。ようやくアーティスト・イン・レジデンスのある田舎町に到着すると、レジデンスのディレクターがアパートの前で待っていてくれました。そして早速ルームツアーと、スタジオや町の案内をしてくれました。

アパートは、一軒家をアーティスト同士でシェアするタイプです。個室の寝室が割り当てられ、キッチンやトイレ、シャワールームは共用。異国の一軒家での共同生活が始まります。寝室は狭く、ベッドと小さい机、洋服ダンス、ハンガーラックが置かれ、部屋に一つある窓からは海が見えました。

キッチンからは山が見えます。

ここで私に何ができるだろう。何が作れるだろうか。アパートの周辺を散策しながら、制作について思いを馳せました。しかし事前に考えてきた制作プランは、滞在初日に早々に崩れたのでした。

つづく…