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3週間おきのゴミ収集
アイスランドではアパートに住んでいたので、ゴミの分別やゴミ出しもしていました。日本とは違う部分も多くありました。滞在先の村では、ゴミの収集が3週間に1度という頻度でした。
もし高温多湿の日本で、ゴミの収集が3週間に1度という頻度だったら、確実にとんでもないことになると思いますが、気温も湿度も違うアイスランド。3週間に1度でも事足りるようです。
都市部を離れると、壮大な景色の中にぽつりぽつりと家が点在しているアイスランドでは、頻繁に全戸のゴミ収集をするのが大変なのかもしれません。自治体によっても収集頻度などに違いがあるようです。
しかしいくら寒い国とは言え、ハエは湧くようで、キッチンの窓辺やゴミ箱周辺でハエとよく遭遇しました。アイスランドでもハエはぶんぶん元気でした。
日本で週に2度ほど可燃ごみ収集の日が設定されているのは、そのサイクルでゴミを収集すればハエが湧かないからだ、という話を以前どこかで聞いたことを思い出しました。日本は高温多湿のわりにはハエが少ないように思いますが、それはゴミ収集の頻度のおかげなのかもしれません。
分別方法も日本とは違いました。自治体によってはガラス瓶をリサイクルすることもあるようですが、滞在先の村ではガラス瓶は全て不燃ごみとして出すように、と言われました。この辺りの地域ではそういうルールのようでした。
3週間分のゴミはどこに置いておくのかと言うと、大抵は家の外に設置されている2つのゴミ箱(「ビン」と言う)に入れます。1つは緑色の蓋で、そちらにはリサイクルできるゴミを入れ、もう1つの黒い蓋の方にはそれ以外のゴミをまとめて入れます。
海洋バイオテクノロジー研究センター見学
滞在先の村には海洋バイオテクノロジー研究センター(以下、バイオ研究所)なるものがありました。バイオ研究所がアーティストたちを招待してくれて、研究所内部を見学することができました。海辺の村にあるこのバイオ研究所では、海に関する様々な研究をしているそうです。説明員に付き添われ、バイオ研究所の色々な部屋を覗かせてもらいました。説明によると、このバイオ研究所の中心的な活動内容は、「特性が知られていない海産物の利用可能性を研究すること」と、「生態系の変化、要因、および結果のモニタリングをすること」ということでした。政府の資金で成り立っている研究所だそうです。
具体的には、例えば、海の中にはまだ生態がわかっていない謎の虫(説明員の方もworm(虫)と言っていました)がたくさんいて、それを顕微鏡で見つけて研究をするのだとか。見学した私たちにも顕微鏡を覗かせてくれました。覗くと確かに変な虫が動いていました。なんとなく寄生虫を連想させる見た目だったので聞いてみると、「これは寄生虫とは違うものだ」と教えてくれました。
その他に、ランプフィッシュのような見た目がグロテスクで捨てられてしまう魚を加工し、食品を作り、周辺地域へ販売する試みもしているそうです。
ランプフィッシュの卵はキャビアに似ていて、キャビアの代用品として流通しています。食べたことはないですが、キャビアに比べると大変安価で、キャビアと同じくらい美味しいらしいです。
またアイスランド周辺の北極海に流れ着くプラスチックの細かい粒子、いわゆるマイクロプラスチックの汚染が、海洋にどのように影響をしているのかという調査・研究もしているそうです。マイクロプラスチックの原因になるものは、コンビニ弁当などのプラスチック容器、化粧品、衣類の合成繊維などなど、挙げ出したらめまいがしそうです。
人間が作り出したプラスチックゴミは海に流れ、食物連鎖などを経て、巡り巡っていずれ人間に戻ってきます。結局は自分たちが捨てたゴミによって自分たちの健康を害することになってしまいます。なるべくプラスチックゴミを出さないように、不必要なプラスチック製品を買うのを控えたいものですが、スーパーで買い物をすると、ほとんどの食料品がプラスチックによって包装されていることに気付き、愕然とします。過剰な包装は断るとか、できる範囲でささやかにでも減らす、という意識を持ち続けたいものです。
市販のヨーグルトは、種類によっては堅牢なプラスチック容器に入っていますが、あんなに立派な容器は本当に必要なのかといつも考えてしまいます。そのせいか、以前よりヨーグルトを買わなくなった気がします。ヨーグルトを食べ終えた後のプラスチック容器があまりにも勿体無いので、筆洗いにしたり、粘土を混ぜるための容器にしたりと、制作の道具として再利用しています。
昔の日本では、豆腐屋さんに自分ちの鍋を持って行き、豆腐を鍋に入れてもらって買い物をするのが至って普通のことでした。スーパーは便利でありがたいのですが、スーパーに並ぶプラスチックに入れられた豆腐を見るたびに、「プラスチック容器は要らないから鍋で買いたい」と思ってしまいます。
そんなことを考えるきっかけになった、バイオ研究所見学でした。